毎回ちゃんと食事の後に歯を磨いているのに口が臭いなんてことはないでしょうか。
それは、口臭の原因が口の中で起こる虫歯や歯周病以外にあるからなのです。
実は、その口臭を引き起こす原因が様々な「内臓疾患」なのです。
内臓疾患によって発生する口臭は、その病気の種類により臭いに違いがあります。
今回は、病気により異なり発生する口臭と臭いの特徴などについて調べてみましょう。
1.口臭を引き起こす4つの原因
食後には毎回しっかりと歯磨きをしているのに口が臭い!
これは、歯槽膿漏など口の中の病気が原因でない可能性があります。
虫歯や歯周病など口の中の病気以外の原因とはいったいどのようなものなのでしょうか。
2.口臭の原因1:肝臓が弱っている(肝臓の病気)
肝臓には500を超える様々な働きがありますが、
大きく分けて3つの重要な働きがあります。
(1)代謝
食事から体内に取り込まれた糖やタンパク質、脂肪などの栄養素が消化器官で消化・吸収され肝臓に運ばれてきます。
肝臓に運ばれた栄養素を体内で使用できる形に変え、必要に応じエネルギー供給ができるように蓄えておきます。
(2)胆汁の生成・分泌
肝臓は脂肪の消化や吸収を助けたり肝臓で処理された老廃物を流す胆汁を生成・分泌しています。
肝臓で生成された胆汁は、胆管に分泌され、胆嚢(たんのう)に溜まり濃縮され、十二指腸で膵液と一緒に脂肪の分解を助ける働きがあります。
(3)解毒
肝臓は脂肪の消化や吸収を助けるだけでなく、アルコールやニコチンなどの有害物質を分解する働きがあります。
腸内で悪玉菌に分解され発生した有害なアンモニアや薬などの有害物質を分解し解毒します。
このような働きをする肝臓は、
弱ったり悪くなっていても症状として自覚できないケースが多い為、
「沈黙の臓器」とも言われています。
2-1.肝臓機能が低下している場合の口臭や臭いの特徴
肝臓が弱り肝臓機能が低下すると口臭の原因になります。
食べ物は腸内で悪玉菌に分解され消化される過程でアンモニアが発生します。
肝臓はアンモニアや他の有毒物質を尿素に尿として排出させる働きがあります。
肝臓が弱り肝臓機能の働きが低下すると、アンモニアが処理されず排出されなくなってしまいます。
排出されなかったアンモニアが肺に運ばれアンモニア臭として口の中が臭くなるのです。
肝臓が弱り肝臓機能の低下が進んでいくむほど、口臭も強烈になります。
肝臓機能の低下が落ち始めた初期段階の頃はアンモニア臭がしてくる前に
ネズミのような臭い、排水溝や雑巾、カビやドブのような臭いがしてきます。
肝機能の低下がより深刻な状態になると、アンモニア臭がしてきます。
ネズミのような臭い、排水溝や雑巾、カビやドブのような臭いがしてきたら
肝臓機能の低下を疑った方がいいかもしれません。
3.口臭の原因2:胃腸が弱っている(胃腸の病気)
胃の代表的な病気である胃炎や胃潰瘍、十二指腸炎や十二指腸潰瘍などにかかり胃腸が弱ってくると口臭に現れることがあります。
卵が腐ったような臭い、ドブやカビのような臭い、雑巾や排水溝のような臭いが口からしてくるのです。
その原因は、胃腸の機能が低下することによる、消化不良を起こしやすくなるからです。
消化しきれなかった食べ物が異常発酵した悪臭が血液からは胃に運ばれ、やがては口から呼気として口臭として体の外へ排出されます。
胃腸は密接な関係にある為、胃の機能が低下していくと腸の機能の低下にも繋がっていきます。
そうなると腸内にある細菌のバランスが崩れ出し強烈な臭いを発するようになっていくのです。
胃腸が弱り胃腸の機能が低下したことによる口臭は、
歯磨きをするだけでは局所療法に過ぎず根本的な解決にはなりません。
毎日しっかりと歯磨きをしているけれど口が臭い。
歯槽膿漏や歯周病など口腔内の病気がないのに口臭がキツイ。
そういった場合には胃腸の機能低下が原因かもしれません。
3-1.口臭がキツイ場合に疑うべき4つの胃腸の病気
口臭がキツイ場合に疑うべき4つの胃腸の病気を紹介します。
単なる歯磨きをしていないなど口の中に原因がある口臭ではなく、
根っこにはこのような恐ろしい病気が隠れているかもしれません。
(1)胃潰瘍(いかいよう)
「胃潰瘍」とは、胃の粘膜や皮膚などの表面が損傷しただれて崩れ落ちてしまう病気です。
胃潰瘍になる原因は、消化液である胃酸や胃液と胃の壁を守る粘液のバランスが崩れ、
胃酸や胃液が胃の粘膜を破壊してしまうということで起こります。
その他の原因として、ピロリ菌の感染や非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)などによるもの。
また、喫煙や過度な飲酒、ストレスも胃潰瘍の原因になるといわれています。
(2)急性胃炎(きゅうせいいえん)
「急性胃炎」とは、日常生活における様々な原因で起こる胃粘膜の炎症の病気です。
唐辛子などの香辛料やアルコールの過剰摂取などで胃における攻撃因子(胃酸)と防御因子(粘膜)のバランスが崩れ、
胃の粘膜が損傷してしまうことで短期的に症状を起こしてしまいます。
その他に、抗生剤や鎮痛剤などの副作用、ウイルスや細菌による感染、
精神的ストレスなどが原因でも急性胃炎になることがあります。
(3)慢性胃炎(まんせいいえん)
「慢性胃炎」とは、胃炎が継続的に返し起こることで胃の粘膜の状態が変化してしまう病気です。
慢性胃炎には「萎縮性(いしゅくせい)胃炎」「表層性(ひょうそうせい)胃炎」
「びらん性胃炎」「肥厚性(ひこうせい)胃炎」と4つの種類に分けられ、
この中でも一番多いのは「萎縮性胃炎」で、胃の粘膜自体が萎縮し薄くなっている状態のことをいいます。
慢性胃炎は急性胃炎と異なり胃の粘膜が変化してしまう病気の為、完治するのは難しいといわれています。
(4)十二指腸潰瘍(じゅうにしちょうかいよう)
「十二指腸潰瘍」とは、消化性潰瘍ともいわれ、胃と腸をつなぐ十二指腸が消化液により破壊される病気です。
胃と同様、正常な十二指腸は胃液や胃酸といった攻撃因子と十二指腸の内側の粘膜の防御因子のバランスで保たれています。
ところが、様々な原因で消化液(胃液や胃酸)の過多により十二指腸の内側の粘膜が損傷されてしまうと十二指腸潰瘍になります。
十二指腸潰瘍の原因は様々で、ピロリ菌や非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)によるもの。
また、ストレスや食生活など生活習慣などが原因として考えられます。
4.口臭の原因3:糖尿病
「糖尿病」とは、体内の血糖値を下げるホルモンであるインスリンが低下し、体内に取り入れられた糖が上手く代謝されなくなる病気です。
日本では、5人に1人以上の人が糖尿病の患者かその予備軍といわれているほど日本人には無関係でなく無視できない病気なのです。
この糖尿病が原因で起こる口臭とはいったいどのようなものなのでしょうか。
糖尿病になってしまうと、細胞が血糖を取り込んでエネルギーに変える働きをするインスリンというホルモンが足りなくなります。
インスリンが減ることにより糖を分解してエネルギーに変えるをことができなくなった細胞は、
その代わりに脂肪やタンパク質を分解してエネルギーを作りだすようになっていきます。
この脂肪やタンパク質を分解するときに「ケトン体」という物質が必要となります。
ケトン体の中に「アセトン」という成分が含まれおり、このアセトンが口臭や体臭の原因となるのです。
アセトンは、独特な甘酸っぱい臭いがします。例えるならリンゴや柿など果物が腐ったような臭いです。
極端なダイエットなどをした時に口臭や体臭がキツくなることがありますが、
無理な食事制限を行うことで体内の糖が不足しアセトン臭はケトン体が原因です。
そういったことから、アセトン臭は別名「ダイエット臭」とも呼ばれています。
さらに、糖尿病になると唾液の分泌量が減り、ドライマウスにってしまいます。
口の中は細菌が多い場所ですが、通常は唾液によってこれら細菌の活動が抑制されています。
ドライマウスになると口腔の細菌が活発になり、虫歯や歯周病になりやすくなってしまいます。
また、唾液は舌苔という舌の汚れを落としてくれる働きもあり、
唾液の分泌量が減ると舌苔が乾燥して舌にこびりついて口臭が強くなるのです。
糖尿病でドライマウスになると虫歯や歯周病、舌苔により口が臭くなってしまいます。
5.口臭の原因4:癌(ガン)
胃がんや大腸がん、肝臓がんや肺がんなどが原因の口臭もあります。
それぞれの癌には特徴的な臭いがあるといわれています。
(1)胃癌(胃ガン)
タンパク質の壊疽(えそ)臭、肉が腐った臭い位
(2)大腸癌(大腸ガン)
卵が腐ったような臭い、腐敗臭
(3)肝臓癌(肝臓ガン)
アンモニア臭
(4)肺癌(肺ガン)
玉ねぎのような臭い、たくあんの臭い
これらの臭いに注目して、癌の早期発見を目指す研究がありました。
日本医科大学の研究チームは、ガンの探知犬「マリーン」による実験を行い、
癌患者の尿を嗅ぎ分け、胃ガンや大腸ガン、子宮ガンや卵巣ガンなどの識別ができたとのこと。
また、米のアーカンソー医科大学が報告した研究結果によると、
ジャーマンシェパードのミックス犬である「フランキー」が、34の尿サンプルから30の甲状腺ガン正しく識別できたといます。
口臭や体臭などから病気を読み取ることができる場合もあります。
以上な臭いが続くときはこれらの病気を疑ってみる必要があるかもしれません。
6.口臭をセルフチェックする診断方法
体臭やワキガの人が自分で気付かないのと同じように
口臭も自分ではなかなか気付きにくいものです。
そんな口臭をセルフチェックする診断方法をご紹介します。
6-1.息を閉じ込める口臭診断方法
何でもいいのでコップや袋をご用意ください。
ご用意いただいたコップか袋に息を吹きかけます。
吹きかけた息が逃げないようにコップや袋を閉じ込めます。
その後、深呼吸などをして新鮮な空気を吸ってから閉じ込めた自分の息の臭いを嗅ぎます。
6-2.オキシドールを使う口臭診断方法
オキシドールを傷口につけると泡がたちます。この反応を口臭診断に利用します。
オキシドールを2倍程度の水で薄めて口に含みます。
口に含んだら軽くブクブクしてコップなどに吐き出します。
吐き出したオキシドールの泡の量で口の中に細菌が多くいるのかを判断できます。
その他にも口臭外来という専門の機関で検査をする方法もあります。
気になる方は専門外来で検査や医師による診断を受けてみてはいかがでしょうか。
7.まとめ
まずは当たり前ですが、しっかりと歯磨きをして口の中を清潔に保つことが口臭予防には重要です。
口臭の原因の殆どが虫歯や歯周病、歯槽膿漏など口の中にあります。
ただし、虫歯も歯周病もなく口の中で以上がみられない場合は他の原因が考えられます。
口臭だけでなく体臭も含め、身体から発せられる臭いは何らかの原因があるはずです。
日頃から自分と向き合うことで、大病になる前に早めに気付くことがが重要です。